2010年11月11日木曜日


恋草を 力車に 七車 積みて恋ふらく 我が心から(4・694広河王女)
こひくさをちからくるまにななくるまつみてこいふらくわがこころから

恋草をつから車に幾台も積むほどおびただしくあなたを恋するのも 私の心からわき出るものなのよ

恋草、地中から萌え出で生い茂る草の勢いと溢れ出る恋心を喩えたもの

広河王女(ひろかわのおほきみ)は穂積親王の孫で無位から従五位に叙せられた人物

力車、租庸調の税のほか贄(にえ)とよばれる天皇のための食物を積み運んだ運搬用の荷車

現在、力車を検索すると人力車がアップされ荷車は現代人の脳裏から消えさっている、七車とは沢山のとかこんなにという喩えであると思われる。今風なら10トンの貨物車7台位ということになるのか、恋草と詠われた季節は秋だそうで春や夏のように熱くなる心でなく冷静に相手のことを思い悩んだ末の気持ちを詠い熱き心を女性から打明けられ相手はさぞときめいたことだと思う