2010年9月9日木曜日


人皆は 萩を秋と謂ふ よし我は 尾花が末を 秋と謂はむ(10・2110)
みんなは萩を見て一番秋らしさを感じると言いますが、ままよ私は尾花こそが秋の風物だと言いたい

さ雄鹿の 入野のすすき 初尾花 いつしか妹が 手を枕かむ(10・2277)
入野の初尾花のように、ういういしいあの娘の手をいつ枕にすることができるのだろうか

初尾花、穂が出たばかりのススキ、
ハダススキと詠うと皮に包まれているまだ穂として出ていないススキをいう

 ススキはイネ科の植物である
 上の歌は世間では美しい花を秋を代表するものだと言うが美しい穂を咲かせるススキがいいというユーモアを詠っている。下の歌は美しい尾花を若い女性にたとえまだ親しく話ができない憧れである状態を詠っている。尾花の語源は薄・芒(すすき)の花の形が動物の尾に似ているからと言われ「花芒(はなすすき)」ともいう。ススキは葉の状態によって変種があり「糸芒(いとすすき)」「鷹羽芒(たかはねすすき)」「縞芒(しますすき)」などがある。ススキを茅(かや)とも呼ぶことがあるが屋根を葺く草を茅といいススキだけでを指していうものではない

 仲秋の名月を栗名月、翌月の名月を芋名月と言い涼しくなった自然を楽しみ暑苦しかった夏の夜を忘れ過ごし易い秋の夜長を楽しむ風流は四季があるからこそ。芒を生けて団子を供え収穫への感謝ですがススキは稲の代わりである、団子月夜と名付けて十五夜の前後を楽しむのも心を豊かにする方法ではないでしょうか。
 スィーツが小麦で作られるケーキにとって代わる前は白玉団子が主役で、暑い夏はクルミ餡にカキ氷をかけて食べたり、寒天や蜜豆に小さな白玉団子を入れ冷やしおやつに、涼しくなるとミタラシ団子に、寒くなると善哉やあぶり餅に団子は年中食べられていたスィーツの原点である、原料の粉だけでは甘みはないが甘くしたり香ばしさを加えたり工夫をするのが人である

 十五夜には団子を十五個つみあげて供える風流団喜という団子がある、五色に色づけた餅皮でこし餡を包んだ月見団子月明かりで見るときれいに見える
 みたらし団子は黒砂糖の蜜に葛をまぜ焼くほのかに香る黒砂糖の風味は癒される
 カボチャ善哉、カボチャの餡子にお団子、黄色い餡に白いまん丸の団子、長月の夜長にピッタリ
 今日は菊の節句、唐揚げチキンの日でもあるらしい、菊のお菓子についてはまた後日に