萩の花 咲きのををりを 見よとかも 月夜の清き 恋増さらくに(10・2228)
萩の花が咲き乱れているのを、見よとでも言うのか、月がさやかだ。萩の花への恋が増さってしまうのに
この歌は9月17日に詠まれた、満月まで5~6日の月も美しかったのなら今日から2~3日の間の月も奇麗なはずである季節を楽しむなら雨で月見ができないと暗くならずにあの辺りの雲の先に月が輝いていると月見をするのも粋な月見だそうで月が出る時刻が日一日と遅くなると今か今かとときめきながら待つのも良いものである。
中秋の名月が近づくとお菓子屋の店頭には月を連想するお菓子が並びます、形は色々ですが兎を思わせるものや満月を連想する白い饅頭が多いなか鶴屋吉信で嵯峨野という饅頭があると聞いたことがあります、嵯峨野は多くの歌人や都人が名月をめでたところ、月見イコール嵯峨野であるならなるほどとうなつける、卵黄を加えたしぐれ生地に焼印でススキを描くと中秋の月見にピッタリのお菓子と納得できる、白い薯蕷饅頭の兎を思わせるお饅頭も塩瀬のうさぎ饅頭と同じくおとぎ話を思わせる。
秋もこの頃になると葛を使ったお菓子の色も色づいてくる、砂糖がぜいたく品であった頃は黒糖の味と色で暖かさをごちそうとしたようですが紅茶やほうじ茶で風味と色をつけ甘味料を加えて湯気が上がらない程度の温かさの御馳走もいいものと思います。