2010年8月31日火曜日
野蒜
醓酢に 蒜搗き合てて 鯛願ふ 我にな見えそ 水葱の 羹(16・3829長意吉麻呂)
ひしほすに ひるつきかてて たいねがふ われになみえそ なぎのあつもの
私は醓酢にノビルを搗き混ぜたものと鯛の焼き物が食べたいと願っているのだが、小水葱を浮かした吸い物は見たくもない
蒜はネギ、ニンニク、ノビル、ニラの総称、生のまま食べると強い辛みのあるユリ科の植物
みらはにら
伎波都久の 岡のくくみら 我摘めど 籠にも満たなふ 背なと摘まさね(14・3444)
きはつくの おかのくくみら われつめど こにもみたなふ せなとつまさね
久米の者たちの粟畑には、臭いの強いニラが一本生えている。その根と芽を一緒に引き抜くように数珠繋ぎに捕らわれて、敵を撃たすにおくものか
暦の上で秋ですがまだまだ夏の気配があちらこちらの農道や畔に自生するノビルやニラの仲間の花が咲いています、もう少しすると小さな黒い種が付き始める、ムカゴであるムカゴで美味しいのは自然薯のムカゴ、ニラやノビルのムカゴは古くから生薬として用いられ鱗茎はいずれも生で食すほか滋養強剤としても重宝され、ニラの鱗茎は下痢止めや女性の月のものの不順解消に用いられた
古典を読み進むと女性が韮類を食するということは風邪等の病の場合か暗闇にまぎれて忍んでくる男性を拒否する場合である、男性が同じように韮類を食べているとどうであったのか知りたい。
仏教では酒、肉、韮は山門から持ち込むことができなかったが、宗派によって異なる。酒は弘法大師が夜一杯の般若湯を許すと認め猪は牡丹、鹿は紅葉、馬は桜と言葉を変え食用に韮類は生薬として持ち込んだのだろうか、高野山はながく女人禁制であったが室生寺、根来、立川によっては若干教義も異なるようですが宗派によてああだこうだというのは大乗仏教で小乗仏教は戒律を重く見て宗派がないそうで黄色い衣を着て托鉢をする僧侶はお金に触れてもいけないという国もあるそうです、日本人は僧侶だけでなく全般的に○○派と言うのが好きなようです