熊野の灘の浦の浜木綿百重なす 心は思へど直に逢はぬかも(4・496柿本人麻呂)
熊野の灘のはまゆうのように幾重にも心に思っているのに、じかに逢うことがかなわないようなことですよ。
浜木綿の正式名はハマオモトであるが万葉の時代になじみのないこの花が人麻呂の妻を思う品格のある歌が広めたものと思う、数年前、お遍路の途中に白い彼岸花に似たこの花を見て彼岸花の白い品種かと思いずっと彼岸花であると思っていましたが、見る方向を変えて眺めればもっと鮮明に記憶に残ったものと思います。私がこの花を初めて見たときは山沿いの道端でありその反対側にも咲いていたのを見れば太平洋の白い波がしらと浜木綿の白い花が重なり人麻呂の歌の光景が浮かんだかも。
浜木綿は書物によるとヒガンバナ科であるそうで彼岸花と同じく根には有害な物質が含まれているようです。以前、私の師匠からヒガンバナ科の花で黄色い花のものがあると聞いたことがあります。
7月31日から8月1日にかけて愛宕神社の「千日詣り」、この日にお参りをすると千日分の火伏せ・防火のご利益があると言われ、愛宕山と天狗信仰、伊勢に七たび、熊野へ三度、愛宕山へは月詣りといわれるほど火廼要鎮の神様と熊野信仰のつながりは何かの縁があるのかと思います
神社、寺院への参拝の土産に「あたごさん」「阿舎利餅」などがある。