2010年8月29日日曜日



筑波嶺の 新桑繭の 衣はあれど 君が御衣し あやに着欲しも(14・3350)


つくはねの にいぐはまよの きぬはあれど きみがみきえい あやにきほしも


絹の柔らかい上着は持っているけれども、それはともかくとして恋人の衣服を身につけてみたいの

 遠い昔から桑は日本人の生活になくてはならないものでしたが、今は養蚕業が衰退し桑畑を見るのはまれですが地図記号には桑畑の記号がまだ残っている、葉は蚕の餌に根や枝は咳止め薬に葉は高血圧のお薬そして実はジャムやジュースに、桑の実の果汁は冷え症に効果があるようです。

 桑は夏の季語だそうですが花は4月ごろに咲く、雌雄別株の樹であり目立つような花でなく赤く小さな実が夏になり初秋のまだ暑いころに暗紫色になる、近頃、紫色の植物が身体に良いとすぐに飛びつく方が多いが桑の実となると手に取るとその色が手に食べると口の中は桑を食べましたとばかり真黒になる、そんなことからか積極的に桑を探すことはないのかも

 桑の実のジュースや果汁を加えたゼリーはあるが、桑をイメージしたお菓子はあまり聞かない、和菓子は色で花や植物のイメージを表現する、桜、紫陽花、撫子等の花の色でイメージをするとなるほどアジサイの花かと連想できるが桑ですと言われても桑の花を思い浮かべる方は少ない、色と形で表現すると名前を聞くまでもないが色で撫子ですと言われると景色・花や歌も言葉も食べる側にもわいてくる。
 
 上の歌はは東歌と言われるものですが「絹の衣」と表現せず「新桑繭の衣」と言ったり御衣は麻でも木綿であってもよくまた、東国なら冬の防寒具である毛皮である可能性もある。

 贅沢な絹を作る蚕の餌であり生薬として根も枝も葉もそして実も大変役に立ってくれた桑です自然の中から生まれた物には助けてもらえる日が来るはずである、あのムラサキの花は白く目立たないが根はシコニンというすごい成分を含んでいる紫色は不思議な存在である。
 ヒオウギのように奇麗な花なら実も姥玉と呼ばれたり、漉し餡に羊羹をまぶしてつやのある小さな御饅頭として表現してもらえる。美味しい桑の実は残念がっているだろう